精進料理コラム「泉竹のお店には、外国人の方がたくさんお出かけです(ハラール精進)」
この度金剛院野々部ご住職様の「こころのごちそう帖・お寺ごはん」が発刊されました。
大変におめでとうございます。
ご住職様の食の見識はもとより、ご住職様の心の温かさが伝わり私自身の心もほっこりしてきました。
先日、世界人口の25%、宗教人口はキリスト教に次ぎ2番目に多いイスラム教の「ムスリムの方のための精進料理試食会」を泉竹で開催いたしました。
豚肉がダメ、アルコールがダメ、牛肉鶏肉等も使用できるものには宗教的制約があります。一部を除いて海産物と野菜農作物は食べても良いものです。その食べても良いもとして宗教的に認められるものを「ハラール」と言います。
師匠 故・山本鶴之助は『精進料理は基本、食材を生食しない調理する野菜料理でありどの様な国の様々な野菜にも対応できる。また健康で安心な料理、そのうえ日本の文化や「もったいない・おもてなし」の精神を伝えることが出来る。必ず世界料理になる』と言っていました。
その師匠の心を受け継ぎ挑戦したのが、ハラール対応精進料理でした。
元々肉を使用していない精進料理ですので食材に困ることはありませんが、醤油、酢、味噌、味醂等はアルコールができる発酵調味料なので使用に制約がでます。その発酵調味料が日本食文化を育て、それにより野菜等の素材そのものの味を味わう味覚を形成している精進料理です。
外国のムスリムの方に食べて頂くだけではなく、日本人の方に食べて頂いて日本食だ、精進料理だと言っていただける味付けにすることに思考を重ね試作を数年繰り返してきました。基本はさらに手間をかけ下ごしらえに時間をかけることで、納得の味に仕上がりました。
当日は、日本人の皆様も多く参加されて「おいしい」と良いご意見を頂戴して、インドネシアから来られたムスリムの方に自信を深めてご感想を伺うと「おいしい!でも更に味を濃くしてほしい、なぜなら素材の味を味わう概念がないので味付けがすべてです。しかし今自国では40代50代の年配層は健康ブームですので、年配層の人が食べたらもっと評判が良いと思います。」と言われました。
参加されていた日本の方が「そんな味の濃い食事をしているから40過ぎで年配者と言われるようになる。日本では年配層と言われるのは80才以上の健康長寿国だ」と叫んでいました。
ご住職の著書の帯に「食事は体だけでなく心をつくります。素材のおいしさを感じてこころがまあるくなる」とありました。
道のりは遥か遠くにありますが、素材そのものを味わう精進料理が世界へ広がることは健康長寿に世界平和に……一人勝手に感じてアドバイスを頂戴した気持ちです。
これからも益々ご住職様のご意見を伺いながら精進に努力を重ねようと思います。
※今回は精進料理レシピはありません。
謝辞
この精進レシピおよびコラムは、「泉竹」からご提供頂いております。
http://www.izuchiku.jp/