精進料理コラムとレシピ「薩摩芋のチョコレートかけ」
泉竹さんの精進料理コラム:
薩摩芋のチョコレートかけ
昨年、京都の有名な料亭のご主人や京都を代表する料理人の方々が精進料理をとうして次代の食を考えようと、料理の研究や講演をされていました。
その講演の中で「ヨーロッパでは3割はベジタリアン、食事に関して制限のある宗教への対応と合わせて、精進料理が持つヘルシーさは今後の世界的な料理ニーズに合致する」
「食材を無駄なく使いきるなど、精進料理の精神性を現代の料理に受け継がなければ、文化的な豊かさが失われてしまう」等、未来を見据えた素晴らしいお話を伺いました。
料理の師匠(故)山本鶴之助は、若い時に精進料理をする自分と会席料理をする料理人とを比べられ、何度となく嫌な経験をしたが、愚直に精進料理に取り組んで思うことは、精進料理は50年か100年後には必ず世界の料理に影響を与える。と話していました。
そして、禅語の一節「三日下厨下洗下作羹湯末譜姑食性先使小姑嘗」を教えてくれました。
意味は「充分でなくそれ以上の十二分な心配りをして尚謙虚に他を生かしつつ生きること、簡単に言えば生かして頂いている。」と説明してくれました。
意味の素晴らしさは頭では理解できますが、職人の私には具体的にどうする事なのか今でも答えが見つかりません。
しかし先日、金剛院の御住職様とお話をする機会に、「寺院や仏閣等の宗教的伝統的な精進料理は別にして、一般的にまた多くの世界の人に広く精進料理を知ってもらう。野菜の奥の深さを感じて頂くと思うと、日本食は出汁の文化であるので、動物性ではあるが鰹節や鮪節等を使い野菜の素晴らしさを引き出すことも考えてよいのではないだろうか」等のお話を頂戴しました。
御住職のお話により学びの意欲が湧き上がってきて、試作をしたり料理関係の書物や師匠の残された物等読みなおしていると、20年前の高名な精進料理の調理人の方の書籍の中に「植物性の食材は、動物性調味料の助けを借りることによって、より良い味の調和が生まれます。その意味で、植物性の素材だけによる調味、調和は、味の点で至難の技なのであります。」と、書かれていました。
また、東京には動物性調味料を使い精進料理を作る。料理屋さんがあることも知りました。
師匠は70歳の時に弟子に自身が学び蓄積した技術を御手製の本として下さいました。そして新たなるものを作るのは若き熱と情熱とよく言っていました。
若い時に作って食べて頂き、ただただ笑っているだけで何も評価をしていただけなかった「薩摩芋のチョコレートかけ」を今回は作りましょう。
精進料理レシピ:薩摩芋のチョコレートかけ
材料(4人前)
- 薩摩芋 400g
- チョコレート 100g
- 砂糖 大さじ1
- しょうゆ 大さじ1
- 塩 300cc
- 水
つくりかた
- 薩摩芋はたわし等を使い水で良く汚れを落とし、皮を残したまま3cm程のくし型に切り揃え、水にさらしておきます。
- 鍋に水と砂糖としょうゆを入れ、1の薩摩芋を入れて火にかけて炊き、串がスーと通るくらいになったらざるにあけ、冷ましておきます。
- チョコレートは湯せんで溶かして冷めた薩摩芋を絡めます。
- 皮目を下にしてバットに並べ冷蔵庫で冷やして出来上がりです。
謝辞
この精進レシピおよびコラムは、「泉竹」からご提供頂いております。
http://www.izuchiku.jp/