ニュースで知ったのですが、この春、東京に新しく大仏さまができたそうです。
日野市のお寺が造られたもので、その大きさは12メートル、台座を含めると18メートルにもなるとか。
奈良の大仏が15メートルということなので、これはずいぶん大きい。
鹿野大仏(ろくやだいぶつ)と呼ばれるようです。
東京で大仏さまといえば、最近は上野の大仏さまがずいぶん有名になった気がします。
上野大仏が初めて建立されたのは寛永時代のことなので、江戸でも初期の頃。
江戸250年の歴史のなかで、地震や火事で何度も倒壊するのですがそのたびに建て直され
大切にされてきました。
幕末の上野彰義隊の戦いでも被災を免れて残ったのですが、残念ながら大正の関東大震災で
大破してしまい、それからは復興のめどがたたずに壊れたままになってしまいます。
そして先の戦争。金属供出といって、軍事品につかうためにお寺の鐘や立派な偉人の銅像までが
鋳つぶされてしまったのは有名な話ですが、なんとこのとき上野の大仏さまの胴体も供出されて、
溶かされてしまったのです。
戦争とはいえ、大仏さまをお護りしていた人たちはさぞ無念だったことでしょう。
ただこのとき、せめてこれだけは…と、お顔は供出せずに残していたのです。
こうして護られた大仏さまのお顔が戦後になってから上野公園内に安置され、現代の
私たちが拝観できる上野大仏さまとなっているわけです。
地震、火事、戦争…と大変な歴史を見つめてこられたありがたい大仏さまなわけですが、
近頃では顔だけの大仏さまなので「もうこれ以上落ちない」ということで受験のご利益があるとか、
ユーモラスな独特の表情が「カワイイ」とかで、学生さんや若い人にも人気になっているそうです。
大仏さまは「やれやれ」というお気持ちでしょうか。
それとも平和な日本を優しく見つめてくださっているのでしょうか。