仏教の世界でイノシシといえば、仏教を守護する勝負の神様摩利支天の乗り物として有名です。
摩利支天はもとは、インドのかげろうの神だったそうで、それが仏教に取り入れられ、仏たちを
守る天部となりました。
かげろうの神ということで、身を隠し秘密のうちにものごとを成功させるご利益があるとされ、
乱世の武士などから信仰を集めました。
なぜその乗り物にイノシシが選ばれたのでしょうね。
猪突猛進というように、一気呵成に突き進むイノシシの様子がかげろうの神にふさわしいと
されたのだろう…と推理しておりますが、真相やいかに。
イノシシというと今では田畑を荒らす害獣としてあまり好まれませんが、日本の建築や意匠の
世界では古来イノシシの名をもつデザインがたくさん使われてきました。
猪目(イノメ)模様というのですが、ご存じですか?
名前は聞いたことがなくても、見たことはあるという方も多いと思います。
神社やお寺で、釘隠しやちょっとした金具のデザインなどにつかわれている、
かわいらしいハートの模様。
あれを猪目といいます。
なぜハート型が猪目なのか…。昔のひとにはイノシシの目があのようにみえたん
でしょうか?
もしかしたらハートの上下が逆で、目元と目尻の垂れた、笑ったような目にみえた
のかもしれません。
ともかく、猪目模様には古来魔除けの力があるともいわれてきました。
そして最近ではそのハート形から、恋愛にご利益ありともされるように。
ディズニーランドの隠れミッキーのように、神社やお寺で猪目を探す女性も
増えているそうです。
探してみると意外にたくさんあるものですから、寺社参拝の折に猪目に注意して
みるもの面白いかと思いますよ。