東京は毎日35度越えの炎天で、こんなに暑いと庭の草木もぐったりしているように
見えてきます。
「これはもう夏じゃなくて地獄だ」なんておっしゃる方もいて思わずうなずきそうになりましたが、
ということで、わゆる「灼熱地獄」はどれほどの暑さなのか、あらためて確認してみました。
よく「灼熱地獄」と申しますが、経典などにそっていえば「焦熱地獄」とするのが正しいことになります。
生前に悪しき行いをしたものが堕ちる「地獄道」には8つの区分けがあり、第一が等活地獄、以下黒縄、
衆合、叫喚、大叫喚、焦熱、大焦熱と続き、最後が第八の無間地獄となります。
犯した罪の種類や重さによって閻魔王が行き先をお決めになるわけですが、
例えば第二の黒縄地獄では、真っ赤に焼けた鉄の上で、鬼たちから焼け焦げた鉄の縄で網目状に焼き目を
つけられ、その目に沿って焼けたノコギリで切り刻まれるという責め苦が与えられます。
二番目の地獄でももう充分すぎるほどに熱いのですが、さらに悪事を重ねたものの堕ちる「焦熱地獄」では、
灼熱の鉄棒で叩かれ、鉄の鍋で焼かれ、さらに全身が炎に包まれる小地獄に連行されたりすることになります。
「この地獄に比べれば、それ以前の地獄の火など雪のようなものだ」というほどの熱さだというのですが、
恐ろしすぎて想像が追いつきません。
熱地獄と別に寒さで責められる「寒地獄」というのもあるのですが、内容は熱地獄のほうが圧倒的に細かく、
これでもかと考えられているように思えます。
焦熱地獄の恐ろしさは、火災や暑さというものが人間にとってそれだけ本能的な恐怖であることのあらわれ
なのでしょう。
これほど暑くなってしまったのは、悪い行いをしないようにというお諭しのサインかもしれませんね。
それが地獄の、つまりは仏教のおしえなのかもしれません。