先月だったか、大阪府八尾市のとある遺跡から大量の
瓦が発掘されてニュースになりましたね。
瓦の発見がそんなにおおごと…?と思われるかもしれませんが、
発見されたのは東弓削遺跡といって、弓削道鏡の
ゆかり地といわれている場所だったのです。
道鏡といえば、女帝である称徳天皇に寵愛されて、
僧侶としては史上最高の「法王」という地位までのぼりつめ
称徳天皇から譲位されて天皇まであと一歩、という
ところまで迫ったといわれる奈良時代の僧侶です。
皇族でないのに天皇になろうとしたことや、称徳天皇と
男女の関係があったのではと噂されたりで、あまり
評判のよくない道鏡ですが、今回発見された瓦は、
奈良の興福寺や東大寺と同じ様式、つまり当時の
最高レベルの技術で作られたものだったそうで、
道鏡が当時最大規模の寺院を与えられていた
証拠になるのでは…と注目されているのです。
道鏡は、称徳天皇の崩御とともに失脚し、晩年は
関東の寺に左遷されて寂しく最期を迎えたといいますが、
権力闘争に敗れたものが「悪役」にされてしまうのは
歴史の常ですから、はたして道鏡がそこまでの
悪人だったのかどうかは何ともいえません。
この発見で、埋もれていた歴史の真実が明らかに
なるとしたら、とても面白いですね。
それにしても、奈良時代、関東の寺院は「左遷先」。
当然といえば当然なのですが…。