僧侶の敬称


天皇陛下がご退位の意向、というニュースが
報じられましたね。これからどうなるのか真相は、
よくわかりませんが、続報が気になるところです。

もしご退位が実現したら、歴史にならって「上皇陛下」
ということになるのでしょうか。現在の皇室典範は
天皇の退位を想定しておらず、そのあたりのことも
定められていませんから、なんとも言えませんが。

現在「陛下」という尊称でお呼びするのは、
天皇陛下、皇后陛下、皇太后陛下(先代の皇后)と
場合によっては太皇太后陛下(先先代の皇后)と
いうことになっていて、皇太子以下の皇族方の
尊称は「殿下」になります。

この「◯下」という尊称、日本語には他にも
たくさんあって、戦前なら首相や大臣、
陸海軍大将などの尊称は「閣下」。

今でも外交の世界では、外国の要人を
公式に「閣下」と呼ぶことになっています。
(外務省のサイトを見るとよくわかりますよ)。

仏教界でも「◯下」という尊称が用いられて
いるのですがご存知でしょうか?

仏教では宗派の長など高位にあるお方を
「猊下」あるいは「台下」とお呼びしています。

仏様や高僧の座る席を猊座(げいざ)といい、
「わたくしが猊座の下からお伝えいたします」
という謙譲の意味を込めて猊下とよぶわけです。

台下も同じで、聖なる方のいらっしゃる台の
下から…ということ。
「管長猊下」「法主台下」などと用います。
(宗派によって使い分けがあったりして、一概に
どの場合にどちらの尊称を使うという区別は難しいですが)。

陛下、殿下、閣下も基本的には同じ構造で、
偉い方を直接呼ぶのは恐れ多いから、
いらっしゃる場所の下から(あるいはそこに
いるお側の人に)語りかけるというかたちをとるのです。

敬語の妙、奥ゆかしさを感じますね。

外国の聖職者に対しても、ダライ・ラマ法王猊下、
ローマ法王台下などと同様に尊称が用いられています。

 

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