菊の節句


いよお彼岸も終わり、本格的に秋の虫の声が聞こえる
ようになってきて、一抹の寂しさも覚える今日この
頃です。

9月といえば、「重陽の節句」。
中国では偶数を陰の数字、奇数を陽の数字だと
考えていて、奇数=陽の数字のうちで、もっとも
大きい9が重なる9月9日や、2が重なる29日などは、
陽が重なる「重陽」のおめでたい日だとしてお祝い
していました。

重陽の節句は別名を「菊の節句」ともいって、
昔からお酒に菊の花びらを浮かべた菊酒を
楽しむ習慣がありました。

昔から菊には、不老長寿をもたらす不思議な
パワーがあると考えられていたためです。

中国には、菊の花についた露を飲んで800年も
長生きした「菊慈童」という仙人の物語があるのです。

この故事にちなんで、重陽の節句の夜に菊の花
の上にひとつまみの綿を乗せておき、翌朝、露に
濡れてほんのり菊の香りの移った綿で体をぬぐったり、
長生きしてほしい大切な人に贈ったりする「菊の
被綿(きせわた)」という行事もありました。

『枕草子』にも出てくる古〜い伝統なのですが、
今ではなかなかみることもないですね。

枕といえば、菊の花を使った「菊枕」という
ものもありました。

作り方は簡単。よく干して水分をとばした
菊の花びらを、枕に入れるだけ。

菊の花びらのほのかな香りと、熱を冷ます
効能、そして邪気を払う魔除けのパワーで、
安眠間違いなしの優れモノとして重宝された
そうです。

手作りの菊枕をお年寄りにプレゼントする
という習慣もあったようですが、これも今では
滅多にお目にかかりません。

菊の花というと、仏様にお供えする「仏花」だから
生きている人に贈るのはよくない…とされることも
あるのですが、本来菊はとっても縁起のいい花
だったんですよ。

カテゴリー: 金剛院和尚のブツブツ雑記 タグ: パーマリンク

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