僧侶の敬称


天皇陛下がご退位の意向、というニュースが報じられて
はや数週間。情報が錯綜していて真相はいまだに
よくわかりませんが、続報が気になるところです。

もしご退位が実現したら、歴史にならって「上皇陛下」と
いうことになるのでしょうか。

現在の皇室典範は、天皇の退位を想定しておらず
そのあたりのことも定められていませんから、なんとも
言えませんが。

現在「陛下」という尊称でお呼びするのは、天皇陛下、
皇后陛下、皇太后陛下(先代の皇后)と場合に
よっては、太皇太后陛下(先先代の皇后)という
ことになっていて、皇太子以下の皇族方の尊称は
「殿下」になります。

この「◯下」という尊称、日本語には他にもたくさんあって、
戦前なら首相や大臣、陸海軍大将などの尊称は「閣下」。

今でも外交の世界では、外国の要人を公式に「閣下」と
呼ぶことになっています(外務省のサイトを見るとよくわかりますよ)。

とここまでが前置きで、さてでは、宗教界、仏教界でも
「◯下」という尊称が用いられているのですがご存知でしょうか?

仏教では宗派の長など高位にあるお方を「猊下」あるいは
「台下」とお呼びしています。

仏様や高僧の座る席を猊座(げいざ)といい、「わたくしが
猊座の下からお伝えいたします」という謙譲の意味を込めて
猊下とよぶわけです。

台下も同じで、聖なる方のいらっしゃる台の下から…ということ。
「管長猊下」「法主台下」などと用います(宗派によって使い分
けがあったりして、一概にどの場合にどちらの尊称を使うという
区別は難しいですが)。

陛下、殿下、閣下も基本的には同じ構造で、偉い方を
直接呼ぶのは恐れ多いから、いらっしゃる場所の下から
(あるいはそこにいるお側の人に)語りかけるというかたちを
とるのです。

敬語の妙、奥ゆかしさを感じますね。

外国の聖職者に対しても、ダライ・ラマ法王猊下、ローマ法王
台下などと同様に尊称が用いられています。

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