酉の市と仏教


11月といえば酉の市ですね。
今年の酉の市は、一の酉が5日、二の酉が17日、三の酉が
29日と計3日間あります。

「三の酉まである年は火事が多い」なんていいますが、もともとは
酉の市にかこつけて吉原に遊びに出る男たちを引き止めるために、
江戸のおかみさんたちが言い出したことだそうです。

「三の酉は火事が多いんだから、あんたブラブラしてないで
さっさと帰っておいでよ~!」なんて・・・、浮かれるダンナに
釘をさしていたのかもしれないですね。

酉の市といえば各地の鷲(大鳥)神社や新宿の花園神社など、
「神社のお祭り」というイメージが強いかもしれませんが、
実は仏教に深い関わりがあります。

東京でもいちばん盛り上がる浅草の酉の市が開かれるのは、
浅草鷲神社と、そのお隣の長國寺。

諸説ありますが、この長國寺で毎年11月の酉の日に
行われていた「鷲妙見大菩薩」という仏さまの出開帳が
大変人気になり、これがやがて酉の市に発展していったと
言われます。

長國寺は、山号も「鷲在山」というくらいで、まさにここが
酉の市の本家本元というわけです。(別の発祥伝承もありますが…)

明治初期の神仏分離令で長國寺と鷲神社は分けられる
ことになりましたが、江戸時代までは神さまも仏さまも同様に
尊ぶ「神仏習合」が普通でしたから、江戸の庶民は神社だとか
お寺だと細かく気にせずに「ありがたい存在」としてお参りして
いたのでしょうね。

このあたりが一神教からみれば、いいかげんなのかもしれませんが
この「おおらかさ」と「すべてを取り込んでしまう」ところが
日本的宗教観の大きな特徴となっています。

*ちなみに今年の長國寺の酉の市では、三の酉のある
年だけに作られる特別な火除け守りが授与されるそうですよ~。

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