「インドの寺院、巡礼者将棋倒しで10人死亡」という
痛ましいニュースを目にしました。
犠牲となられた方のご冥福を祈るばかりですが、
実はこのニュースでもうひとつ気になったのが、
「いったいインドのどこのお寺なのだろう」ということでした。
というのも、インドは仏教発祥の地でありながら、時代を追うに従い
ヒンズー教やイスラム教が有力な宗教となり、仏教の教えは16世紀頃
には衰退してしまっていたからです。
現在のインドの仏教徒は、人口のわずか1%程度ともいわれます。
ということで注目してニュースを見てみると、この寺院というのは
仏教ではなく「ヒンズー教の寺院」とのことでした。
ちょっと不思議な感じがしませんか?
「寺院」というのは、仏教専門の言葉じゃないの?と・・・。
神道なら「神社」、キリスト教なら「教会」、道教ではちょっと聞き
慣れませんが「道観」といいますし、イスラム教ならそのまま
「モスク」でしょうか。
では、その他の宗教では・・・?
実は「寺院」という言葉、もとは仏教施設をさす言葉では
ありませんでした。
仏教がシルクロードを通って中国に伝わった頃、外国人で
ある仏教僧は、今でいう外務省にあたる「鴻臚寺」という官庁に
滞在していました。
そこから、その後も僧侶の暮らす建物が「◯◯寺」と呼ばれる
ようになったのですが、つまり、「寺」というのはもともと「お役所、官庁」と
いうような意味の言葉だったのです。
金剛院も昔は、役場があったそうです。
というわけで、仏教と馴染みの深い「寺院」という言葉ですが、
必ずしも仏教用語というわけでもなく、ヒンズー教など他の宗教に
使われるのも間違ってはいないようです。