8月11日から、京都は龍谷大学の龍谷ミュージアムで
「三蔵法師 玄奘 迷い続けた人生の旅路」という
興味深い企画展が開催されています。
西暦664年に遷化された三蔵法師・玄奘の
1350年忌にあたり企画された展示で、奈良の
薬師寺に伝わる玄奘の坐像などゆかりの資料を
通して、玄奘の素顔に迫る構成になっているそうです。
この方がいなかったら仏教は日本に伝わっていなかった
かもしれないくらいです。
夏目雅子さん演じる三蔵法師の印象が強い世代としては、
どうしても美しい女性のような姿の玄奘を思い浮かべてしまいますが…。
実際に夏目雅子さんが演じて以降、日本では西遊記がドラマや
漫画になる際、三蔵法師を女性が演じたり、女性らしく描かれたり
することが多く、西遊記の本場、中国の方は「なぜ??」と不思議に
思うのだそうです。
中国版の西遊記の絵本などをみてみると、普通に壮年の
男性僧侶として描かれていますからね…。
玄奘は現実に唐から天竺への旅という偉業を成功させたことと、
伝奇小説としての「西遊記」の登場人物になったことにより、
超人的な人物像がひとり歩きしたり、想像によるキャラクター付け
がなされたりして、いち僧侶としての真実の姿がわかりにくく
なっているそうです。
物語、伝説のなかの玄奘と、文字通り命をかけて仏典を求めた玄奘。
その間にどれほどの違いがあり、どんな意外な一面が発見できるのか。
興味の尽きない展示です。
会期は9月27日までだそうなので、まだまだ観にいくチャンスはありそうです。