言語はその地域や人々の文化や価値観が強く反映されています。
そのため、他の言語に直訳すると、ニュアンスが異なってしまう場合が
あります。だからこそ、翻訳家はどのように訳すかが問われます。
特に宗教に関することは、一つの言葉に対してさまざまな意味・解釈が
ありますから翻訳することは大変な作業です。
ちなみにイスラム教徒は、コーランを翻訳してはいけなく、アラビア語の
ままで読まなくてはいけないそうです。
仏教用語の翻訳も難しいもの・・・。
そんな中で『英語でブッダ』という本が反響を呼んでいます。
著者は、ハーバード大学神学部を卒業した浄土真宗本願寺派の
僧侶・大來尚順さんで翻訳家としても活動されています。
金剛院でも彼の先達で外国人方々に仏教を伝えている会をしています。
いくつか翻訳例を見てみましょう。
仏陀=Awakened One(目覚めた人)
諸行無常=Everythig is changing.(物事は常に移り変わっている)
往生=Birth in to tha Pure Land(仏の国に往き生まれること)
Pure Landは浄土のことだそうです。
言い得ているような、違うような・・・。
「空」の教えもnothingとなりますが、やはりそこには前後の説明を
相当付け加えています。
ちなみにお酒のことを、大來さんはwisdom water(智慧の水)と
訳しました。
仏教用語ではお酒を般若湯(はんにゃとう)といいますが、
これはサンスクリット語の「パンニャ=智慧」からきています。
そのため、英語訳もwisdom water(智慧の水)としたそうです。
言葉の背景を知っているからこそできる訳ですね。
英語を学ぶ人は多いですが、仏教にも興味があるようでしたら、
この本で学ぶと両得かもしれませんね。