世界で日本文化が注目されるムーブメント
「クールジャパン」がますます広がりを見せています。
このような世界に誇る日本の文化・技術の中で
意外と日本人自身に知られていないものが結構あります。
その一つが印刷技術です。
実は日本の印刷技術は世界トップクラスであることを
ご存知でしょうか?
万葉集や古今和歌集などの詩、源氏物語などの小説や
枕草子などのエッセイ、鳥獣人物戯画などの漫画など
のように古くから日本には文学レベルが高かったことが
知られています。
読書好きな国民性から、印刷技術が海外からもたらされると
急速な発展を遂げたのです。
中でも西暦770年に印刷された「陀羅尼」は、現存する
世界最古の印刷物として知られています。
「無垢浄光大陀羅尼経」というお経の一部です。
この印刷された経典は、当時の天皇である称徳天皇が、
764年に起きた藤原仲麻呂の乱を平定した後に、乱後の
安寧を祈って印刷されました。
この印刷物は、縦5センチ、横15〜50センチほどの
百万塔という小塔に入れられ、十大寺と呼ばれた法隆寺、
興福寺、東大寺などの10のお寺に納められました。
百万塔と呼ばれるように、その際に作られた小塔の数は100万!
当然中に収められた陀羅尼も100万部ということになります。
現在でも100万部と言えば、数年に一度でるかどうかの
大ベストセラーです。
当時は自動化した印刷機などはありませんから、大変な
労力と技術が必要だったことでしょうね。
約1300年前から日本の出版への高い意識がわかるエピソードですね。