写真は、江戸時代のお寺の本末関係を整理した分厚い本です。
徳川幕府が、仏教教団を統制するために設けた本末制度(ほんまつせいど)が
ありました。
つまり、すべてのお寺を特定の寺の末寺に置くことで、その統制を
はかった制度です。それによって幕府の意向を末端のお寺までに
周知徹底させることが可能になりました。
しかも、その命令なかには、地域の人たちをお寺の檀家として登録し、
お寺からの檀家証明書がなければ、江戸市中を歩くこともできなかったとか・・・。
一方、お寺側には、新らしい寺の創建を禁止し、各本寺に対して
「末寺帳」の提出を義務づけました。
この幕府の命によって、形式的に特定の宗派に編入されることとなり
本来の宗旨と違ったお寺ができることもあったようです。
そんな本寺の功績を、幕府は手厚くもてなし大きな寺領(土地)を与え
たりしたのです。
しかし幕府の命に従わず、地方に多くのお寺を建立して寺院数を
誇るようになった宗派もありました。
そんなお寺も当時はそれなりに良かったのでしょうが、いまになって
みれば、地方の過疎化、後継者問題などで足かせ気味です。
本末関係の本を見ながら、往時の勢いのあった活気をうらやましくも
思い、また時代の変化の中で、何を求めていくのか・・・その選択が
むずかしい世の中になってしまったことを真剣に考えないといけない
時代にもなってしまいましたね。