私たちがいつも拝んでいる仏像・・・。
そのお姿は、仏像が造られた遠い昔から変わらないと
思いがちですが、年月の経過とともにあちこちに傷みが
出てきます。
人間と同じように入院もします。
そんな時に活躍するのが、仏師の中でも修復を専門に扱う
「仏像のお医者さん」たちです。
仏像を造る時とは一味違う、緻密な技術と感性が要求される仕事です。
仏像の内部を調べるのには、人間と同じようにレントゲンや
内視鏡を使います。
和尚のところの仏像も明珍さんという方が、かかりつけの
お医者さんかも(笑)・・・。
こちらの『壊れても仏像 文化財修復のはなし』という本では、
どのような技を使って直していくのか、仏像のお医者さん自らが
紹介しています。
仏像を拝んだり鑑賞したりする前にこの本を読んでおくと、
見方が変わってくるかもしれませんよ。
修復には、いろいろな形があって考え方やとらえ方によって
修復の仕方が全然違います。
仏像ができた時と同じような修復、古色によって仕上げられるもの
現況の雰囲気を壊さず修復するものと、ブラック・ジャックも顔負けの
匠の技もさることながら、なによりも「感性」が求められる仕事です。
この本では、修理を重ねていくうちに、違った仏さまに「リフォーム」
されてしまった仏像も紹介されています。
お薬師さまがお釈迦さまや阿弥陀さまになったり、大日如来さまと
観音さまが一つになって「大日如来観世音菩薩像」と呼ばれて
しまったりと、昔は大胆なことが行われたのですね・・・。
京都博物館などにいくと、いま、若い人たちがモクモクと仏像のみ
ならず日本の文化財の修復に頑張っている方々がいます。
地道な作業ですが、たのもしい限りですね。