伝統の美を後世に



鎌倉の円覚寺にある国宝・舎利殿の屋根のふき替えが
終わりましたね。

この舎利殿は、源実朝が中国から伝えたとされる、
お釈迦さまの「歯」を納めてあるもので、室町時代中期の
建築です。

新しくなった屋根は、太陽の光を受けて黄金色に輝いています。

その輝きから金属性の材料を使っているようにも思えますが、
実はサワラの木が用いられているのです。

数ミリほどに薄く削った板を、少しずつ重ねながら屋根を
造っていく「柿葺(こけらぶき)」という技術で、金閣寺の
屋根にも使われています。

今はふき替えたばかりなので美しく輝いていますが、
時間が経つにつれて落ち着いた色合いになり、歴史を
重ねてきた建物にマッチしていきます。

天然素材ならではの魅力ですね

こうした伝統様式を後の世に伝えて守っていくためには、
技術の継承も大切なのですが、いかに質の良い材料の
確保をするのか・・・。それにかかる費用をどうするのか?

長い年月にわたって使われる寺社建築では、こうした点が
特に重要です。

寺社の側でも、その重要性は認識されていて、高野山や清水寺
などでは古くから育林など力を入れています。

「伝統を守り伝えていく」というと、技の伝承ばかりが注目
されがちですが、その技を支える良質の材料をどのように守って
いくのかという、長い時間の「先を見る力」がないといけないのかも
しれません。

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