一般的に法要は、参列者の菩提心(仏を悟りを求める心)を
歓喜する目的があるともいいます。
そこに、それらの法会を荘厳するために、さまざまな曲が付加され
されていきます。
さらに密立、顕立、呪立、講式など一口に「法要」と言っても
真言宗の法会は、他宗に比べると非常に緻密で奥が深いです。
今回行われたのは、弘法大師さまのお姿をお祀りして、お徳を
たたえる「御影供二箇法要(みえくにかほうよう)」が行われました。
真言宗のお経は、聲明(しょうみょう)といって、独自の節が
ついています。
たとえば「仏」という言葉を棒読みすれば「ブツ」で1秒もかかりません。
しかし聲明になると節をつけるので・・・
「ブ~~~**~~ウ~***~~~~*~~」
と、1文字で30秒くらいの響きになります。
長い時間をかけて、仏さまを供養し讃えるためだからです。
そして、それが日本の邦楽の原点となって演歌へと繋がって
いくわけです。まさに日本音楽ルーツというわけです。
今回は、お大師さまのために「百味供」(ひゃくみく)も行われ、
百種類の山海珍味のお供物をお大師さまにお供えします。
檀信徒さんからお坊さんへ、次々にお供物がリレーのように手渡しで
お供えしていきます。
本堂には、お大師さまのほか、真言宗中興の祖である興教大師さまと
豊山派を開いた専誉僧正さまのお姿も掲げられています。
引き続いて本格的な聲明の幕開けです。
何十人ものお坊さんが唱える聲明は、ものすごい迫力で、聞き入る人の
心をつかんで離しません。
聲明公演なども劇場ホールで行っていますが、本堂という長年の場の力は
それとは違います。
お坊さんとの距離感が近いので、一体感も相当なものです。
なぜか本堂の音響効果も素晴らしいですねぇ~~~。
5時間近くにわたって聲明が続きましたが、お坊さんの声の調子は
最後まで力強さを保っていました。練習を積み重ねた賜物です・・・。
御影供二箇法要は、多くのお坊さんの出仕を必要とすることから、
普通のお寺では行うことが難しいとされています。
しかも今回の法要は、省略なしの「完全バージョン」・・・。
法要を終えて家路につく檀信徒さんたちは、皆さんいい笑顔をされて
いました。
お大師さまのパワーを受けたのでしょうね