あるお寺さんで、「仁王さまの股くぐり」という、めずらしい
行事をやっていました。
祭礼などの期間限定みたいですが、中門に安置された金剛力士
(仁王尊)の両足の間を、くぐらせていただけるそうです。
すると、その一年、無病息災で過ごせるとか・・・。
お姿を拝すると、たしかに病魔や災難を退散してくれそうな、
力のみなぎった見事なお像です。
この仁王尊像(一対)は、鎌倉時代、運慶の作だそうで、
国の重要文化財に指定されています。
それにしても、文化財、ことに国指定の重文となると、手で
ちょっと触れるのも厳禁、というのが大半のなか、しっかりと
股下をくぐらせていただけるというのは、ご住職様も太っ腹で、
ありがたい話ですね。
ちょっと体格のいい方が、無理矢理してしまうと倒れてしまい
そうですが、大丈夫なのでしょうか?
この日も、お寺の熱心な信者さんと思われる、おじいちゃんや、
おばあちゃんたちが、フウフウ言いながら、身を屈め、一所懸命に
股下をくぐっては、真剣に手を合わせていました。
聞くところ、お開帳のときは欠かさず、少なくとも一回は、
「股くぐり」に参拝するという老夫婦も。
「腹ばいでくぐるだけでも、年取ると息があがる」そうで・・・。
「無病で元気に」は、古今東西、万民共通の切なる願い。
まだまだ我々に、いろんな御利益を授けてくださいね。