これから高齢化社会になって、必ず起こる問題として
火葬場不足という問題があります。
2036年には、そのピークを迎え176万人くらいの
人が火葬されるそうです。
名古屋などでは、225万人に対して火葬場が1箇所だし、
阪神大震災の時に、一番困ったことが火葬の問題でした。
そんな状況なら施設を増やせば良いのではと思いますが、
火葬場の新設は、自治体と住民の間で難しい問題が残ります。
そこで考え出されたのが「火葬船」という構想です。
大きな船で洋上で火葬しようとするわけです。
コストもグランドで作るよりも安くできるし、住民との
トラブルもないし、必要がなくなった時は解体も簡単だし、
跡地利用にも関係ない・・・。
災害時には、いろいろな場所まで移動できるというメリットも
あります。
そう言ったメリットもさることながら、船が着岸する場所は、
思いのほか不便な場所であること。
内陸部に出向く事はできないこと。波によって船体が揺れる
など船舶独特の現象が起こること。
火葬場では不要な「船員」としての資格を有する人を確保する
必要?があること・・・。いろいろと問題もあります。
あるいは、先日の葬儀で、お別れに納得できなくて葬儀の時間が
延びてしまったことがありました。そのために火葬場へ着くのが
遅れてしまったのです。
その時の対応が「時間を守ってくれなければ、一番最後に回す」と
いう冷たい言葉でした。
たしかに、時間に遅れることはいけません。でも渋滞もあれば
遺族の辛く悲しい気持ち、葬儀の時間の中で、僧侶がしなければ
ならない作法や読経などの必要な時間など、譲れない部分も
たくさんあるわけで・・・。
法律や技術面から実現だけを論じるだけでなく、船上で葬儀や
火葬をすることに対しての日本人の伝統的な感情や宗教的な
慣習や立場なども考慮していかなければなりません。
この火葬船の話は、構想よりも実際の「運営」が大変なんだと
思います。
そして「葬儀」の中には、決して忘れてはいけないものが
「ある」ということを肝に命じたいと思っています。
火葬船公式サイト(写真はこちらのサイトから)
http://www.kasousen.jp/index.html