この六道まいりの門前には、「幽霊子育飴」という、
とても、おぞまし名前がついた飴が売られています。
とても品の良い素朴なべっこう飴ですが、名前の通り
伝説を持つ飴です。
その昔、この店に毎夜遅く、一人の女性が飴を買いに来ます。
それが何日も続き、店主はこっそりとその女性の後を付けて
みたのです。
すると、その女性は墓地まで来ると消えてしまいます。
次の日に住職と一緒に墓地へ行ってみると、墓の下から赤ん坊の
泣き声がするではありませんか・・・。
すると母親と思しき女性の亡骸の傍らで、赤ん坊が飴をなめながら
泣いているのです・・・。
死者ゆえに乳を与えられぬ母親は、飴を我が子になめさせて
新しい命を繋ぎ止めていたという母の慈悲・・・。
のちにこの子は住職のもとで仏門に入り、亡き母の菩提を弔い、
高名な僧になったとか。
この話は、上方落語にもなっていて・・・
7日目に女はやはりやってくるが、「実は今日は、おアシがございません
が、飴をひとつ分けておくれやす」と言う・・・。
「よろしい」とゼニなしで飴を与え、そっと後をつけてみると、
二年坂、三年坂を越えて高台寺の墓地へ入って行く・・・。
中略
この子を、飴屋が引き取り育て、のちに高台寺の坊さんになった
という。母親の慈悲で、何とか子どもを育てたい・・・。
それもそのはず、場所が「高台寺(子を大事)」・・・。