和を楽しむ


「和を楽しむ」と題して邦楽と和妻の伝統芸能を
本堂でご披露しました。

邦楽は、日本の音楽で、その原点はお経にあります。
しかも真言宗で唱える「声明」(節付きのお経)で、
そこから能楽、浄瑠璃(義太夫)、地唄、長唄、民謡、歌謡など
につながっていったのです。

特に江戸時代には、歌舞伎の伴奏や効果音として、三味線、鼓、また、笛、琴、尺八などの楽器が盛んになって、
それぞれが独立して演奏されるようになり、日本を代表する
音楽となりました。

西洋音楽では、ドレミという決められた音階・絶対音と
雑音のない音が良否の評価となります。
しかし、邦楽では、一人一人の音は違い、それぞれが
個性を持って、それらが集まって一つの音を作りあげて
いきます。

極端な言い方をすれば、雑音が集まって一つの音を
作りあげているという感じです。 日本の音楽のすばらしい
ところは、融通性があり、楽譜がなくても「良い加減」で
他の人との「調和」をはかりながら演奏できるので、
指揮者はいりません。

邦楽ワークショップでは、邦楽のすばらしさをご披露して
いただき皆さんが良く知っている歌謡のメロディーも・・・。

西洋の音階は通常持っていないので、手で押さえる
場所をずらし演奏するので、かなりのテクニックです。

そんな邦楽の生演奏に合わせて優雅に華麗に演じられる
のは日本の伝統的手品「和妻」(わずま)です。もともとは
「手妻」(てずま)と呼ばれていましたが、西洋のマジックが
氾濫してきたので、明治以降には、本末転倒で変な話ですが、和風の手品ということで「和妻」とも呼ばれるようになりました。
手がしなやかで「てしな」、手を変え品を変えで「手品」、手は稲妻(いなづま)のごとく早く、衝撃的であるという意味から「手妻」といわれたといいます。

意外とその歴史は古く、中国より六世紀頃に、仏教伝来と共に伝わり、奈良の東大寺の大仏建立開眼法要の時にも演じられたと言います。

今回はお嬢様も出演。高校生とは思えない名演技。

西洋のマジックは、ただビックリというだけですが、和妻はストーリーがあります。 紙で作った蝶々が、まるで生きているかの
ように動き出す胡蝶の舞・・・。

夫婦の蝶となり、最後は死を迎えます。
そして千、万の命となって、紙吹雪が舞います。

そこには、手品の域をこえて「諸行無常」の仏教の教えをも
感じさせてくれる名演でした。

後見の晃太郎さん&すみれさんの面灯りでの演技。
その昔はライトがなかったので、こんな手燭で演者を
照らしました。
和妻にその半生をかけて、その伝統を伝えてきた新太郎さんにとって、そのお弟子さんに両側から支えられることは、無上の喜びであったようです。

終わっての打ち上げで、「和妻や邦楽といったような伝統芸能を残すのではなくて、今の時代に、いかに生かしていくかが大切・・・」と、いうように、とっても感動的な公演でした。

ありがとうございました。

 

 

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