宇宙人が襲ってくる


ピンポ~ン
時計を見ると7時である。何となくイヤな予感を感じながら
ドアを開けると、

「宇宙人が襲って来る~・・・・・」

と言って玄関に倒れ込んだ。
見ると20代前半の男の人で、身なりもちゃんとしている。

普通、朝のこの時間に若い人が、こんなことを言いにお寺には
来ない。明らかに病んでいるか、どこかの宗教の人だ。

「ヘェ~宇宙人が襲って来るんだ・・・」と明確化の相づち。
そして、しばらく10分ぐらいの沈黙。

10分の沈黙は大変だ。何かを言いたくなってしまうし、危険との
裏腹で非常ボタンを押そうかと・・・。でも彼にとっては自身の
気持ちを整理するために必要な時間ののだ。

「僕が戦わなければ地球がダメになってしまう・・・」

「ヘェ~それじゃ戦えばいいのに?」

「僕にはパワーがないんだ・・・」と涙をためて話す彼。

「パワーがないんだ。どうしたらパワーがつくの?」

「今朝から何も食べていない・・・」

「エーッお腹すいてるの・・・」

「・・・・・」

ひょっとして手の込んだ、ただのおもらい?
その後、彼はしばらくしてから、気が楽になりましたといって
帰って行った。この間30分という時間がたっていた。

足は板の間だったのでビンビンにしびれていて
「何だかな・・・」という感じの1日の始まりでした。

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