お葬式のトレンド


おお~~スゴイ、ベンツのリムジン霊柩車であります!!

お葬式というものは、我々が思っている以上に
時代の世相を映して変化しています。

葬儀業界のあらゆる業者が集まって、年に一度、
新商品や新しい企画などをプレゼンする
「フューネラル・ビジネス・フェア」という展示会があります。

見学するのも1日がかりの、たいへんなビックイベントですが、
毎年見ていると、その折々のトレンドというものがわかって、
とても興味深いものです。
こちらはサッカーやゴルフ、野球などのご遺骨を収骨する壺です。
大好きな方には、必要なアイテム・・・????

このフェアがスタートしたのは平成8年、今から16年前です。
この頃のフェアで、大きな話題だったのは、葬祭ホールの
建設でした。

既に主要都市では普及していた葬祭ホールでしたが、
この時期に、地方でのホール建設競争が始まっていました。

このスピードはすさまじく、昭和時代には当たり前だった自宅葬も、
平成10年を超えたあたりで、自宅でのお葬式は地方ですら、
ほとんど無くなってしまいました。

葬祭ホールというテーマの後にトレンドどなったのは「生花祭壇」
です。これも今では一般的となってしまいましたが、それまでは
白木の宮型祭壇を設置するのがほとんどでした。

それがこの時期、色とりどりの生花でつくる生花祭壇が普及し
始めたのです。

実は葬儀社にとって、生花祭壇を導入することは簡単なことでは
ありませんでした。大量の生花を安定して仕入れることが出来な
ければなりませんし、現場で生花を活けるデザイン力なども
必要となります。

それまで葬儀社が、経験したことの無い仕事のやり方が求められる
ようになったのです。今でも専門の花屋さんに生花祭壇を外注する
葬儀社が多いのは、その難しさ故のことでしょう。

また、お葬式の進行で、スライドや音楽による演出が増えてきた
のもこの頃です。

10年くらい前には、エンバーミング、手元供養という、ちょっと
変わった内容の展示が増えています。

エンバーミングというのは、もともとはアメリカの軍隊で生まれた
遺体の保存技術です。遺体から血を抜き、その代わりに防腐液を
注入することで、保存状態を良くし、さらに死んで変わってしまった
顔を、生きている時と同じような状態に補修したりします。

手元供養は、遺骨の一部を手元に置いて、亡くなった方を偲ぶ
というもので、ペンダントの中に遺骨を入れたり、遺骨をダイヤモンド
に加工したりする商品が多く展示されました。

そして、5年くらい前から目につくのが、家族葬です。

実は、それまで葬儀社の人たちは、家族葬のことを嫌っていました。
それは、家族だけでお葬式をされてしまうと、葬儀社が儲からない
からです。

しかし、だんだん家族葬を希望する人が増えてくると、葬儀社も
それを無視することができなくなります。無視することが出来ない
なら、積極的に家族葬を進めて、ニーズに応えていこうというのが、
この時期です。

ご存じの通り、今では普通のお葬式よりも家族葬(家族だけという
ことではなく、家族と若干の友人知人を含めたお葬式)が、多い
という状況になってしまいました。

そして、ここ2~3年のフューネラル・ビジネス・フェアでは、大きな
トレンドは見あたりません。どうもこの業界も、色々やり尽くした感が
あるような気がします。

逆に言えば、あまりにも葬儀屋さんが、商業主義に走り過ぎたので
葬儀のクレームやセンスの悪さが目立ち始めたのかもしれません。

そんなわけで、地味ですが「事前相談」のノウハウの提供に係わる
展示が多かったのも、そのせいかもしれません。

事前相談とは、亡くなる前にお葬式の相談をするということです。

お葬式の段取りは多くの場合、家族が亡くなってから慌てて
葬儀社を決めて、その上で行うことになります。亡くなる前に、
お葬式の話題を出すことが不謹慎だと感じる人が多く、この流れ
は長く変わることはありませんでした。

しかし近年、事前にある程度決めておくということが、一般的に
なりつつあります。本人が元気なうちに自分のお葬式について
決めておく、あるいは、家族の死が近い状況で葬儀社に相談する
人が増えているのです。

お葬式のトラブルの多くが、慌てて色々なことを決めてしまうことに
あることを考えると、事前相談というものは、「いいお葬式」をする
ための必要条件であると言えます。

葬儀社も、こうした事前相談を進めることで、よりよいお葬式をしよう
という考えに変わってきたのです(もちろん商売のためでもありますが・・・)

こうしてフューネラル・ビジネス・フェアの16年を見てみると、モノから
コトへ、ハードからソフトへという方向性があるように感ぜられます。

葬儀業界というのは、いろいろ問題の多い業界でもありますが、全体と
しては「小さくても納得のできるお葬式」という方向性に進んでいる
ことは間違いないようです。

金剛院では、お寺が発信する「納得のできる」葬儀を計画中です。
ぜひ、葬儀屋さんと接触する前に、それぞれのお寺さんに事前に
相談されてみることも大切なことなのかもしえません。

 

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