スピリチュアルに関する調査


「スピリチュアル」と呼ばれる言葉がよく聞かれる
ようになっています。

単純に日本語に翻訳すると「精神的な」となります
が、実際にはもっと広い使われ方をしており、
宗教的・霊的なニュアンスが強かったり、近代科学
とは異なる考え方に基づくものだったり、人によって
だいぶ捉えている意味が異なるようです。

風水、占星術、タロットなどの占いに類する分野
ヒーリング、気功、ヨガ、ホメオパシー、ホリスティック
医学など、オルタナティブな体系によって身心の
正常化を求める分野、あるいはパワーストーン、
パワースポットなどモノや場所に宿っている未知の
力(パワー、エネルギー)を求める分野など・・・、
あまりにも多様で、スピリチュアルを定義すること
すら困難です。

ちなみに「スピリチュアル」の定義としてよく使われる
のは、WHO(世界保健機関)によるもので、
「『スピリチュアル』とは、人間として生きることに関連
した経験的一側面であり、身体感覚的な現象を超越
して得た体験を表す言葉である」というものです。つまり、
スピリチュアルは、通常の常識を超える体験であり、同時
に生きるということに深く関わっているものだということで
しょうか?

最近、スピリチュアルに関する現代日本の状況を
分析した、三菱UFJリサーチ&コンサルティングが
行った「癒しとスピリチュアルに関するアンケート調査」
という報告書を見る機会がありました。

それを見ると、スピリチュアル消費についての数字は、
20代から40代の女性が圧倒的に高く、20代女性に
限って言えば53.2%と半数を超える人がスピリチュアルに
係わることでお金を出した経験を持っているといいます。

この報告書で興味深い調査がいくつかありましたが、
そのひとつが、スピリチュアルに関わることがらを
体験した人が、どのくらい効果を実感しているかを
分析したものです。

それによると効果を感じている人が多いのが、ヨガ教室
パワースポットツアー、スクール・教室(占い、ヒーリング、
瞑想・呼吸法など)といったものです。

それに対して効果を実感していない人が多いもの
として目立ったのが、占い(携帯サイトなどの占い
ゲーム、電話・WEBなどの相談・占い、対面での
占い・相談・鑑定)でした。

占いは、テレビでも雑誌でも必ずと言っていいほど
コーナーがあったり、人気占い師(あるいは占い師に
類する人)が、あちこちで持てはやされたりしていて
かなり長い間、流行り続けています。

このレポートでも、女性に限れば、32.4%の人が、
「対面での占い・相談・鑑定」を受けた経験を持って
いるという集計結果が出ています。

しかし、効果の実感というところでは低い数字を示して
おり、「受けてみたけれど、効果があったかどうかわから
ない」という人が多いようです。

またレポートでは、「今後の潜在需要」という分析が
あり、「今後利用してみたい分野」についてのアンケートを
集計しています。

そこで高い数字を示しているのが「ヨガ教室」「気功・
太極拳などの教室」「古武術などの教室」で、次いで
「パワースポットツアー、癒し目的の旅行」となっています。

面白いのは、この次に高い数字として「対面での占い
相談・鑑定」があることです。

先の集計では、効果の実感が低いことが示されて
いることから考えると、「前回は、占ってもらって、いま
ひとつだったけれども、今度こそはいい占い師に
出会えるかも知れない」という期待度を示している
とも言えるでしょう。

何だかわからないけれども、期待してしまうというのは、
これは占いに限らず、スピリチュアルに関わるもの
全般に言える傾向です。

現状(自分の現状、社会の現状、医学・科学の現状)に
期待が持てないことから、それを超える何かに期待を
してしまうのは、人間の性(さが)なのでしょう。

スピリチュアルなものが流行るのは、現実に期待を
持てない社会の裏返しなのかもしれません。

 

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