精進料理人・棚橋俊夫さんの精進料理の哲学を
拝聴してきました。
棚橋さんは、日本の食事である一汁一菜にこそ、これに
勝る食事はないと、そう断言されます。
一汁一菜は、日本の献立の構成で、主食(飯)、汁物(味噌汁)
惣菜(おかず)のセットのことです。
このほかに発酵食の漬物(香の物)がついて、動物性の
ものは取らない野菜食です。
この「野菜」しか向き合わないという「覚悟」の中から、
見えないものが見えてくるとも言います。
7億ドルという国費を投入して調査された、アメリカの
「食事と栄養」に関する「マクガバンレポート」では、
理想的な食事は、日本の一汁一菜だと結論づけています。
人間はね・・・、車や機械は作れるけど、「野菜」を作り出す
ことはできないんですよ・・・と、棚橋さん!
それは自然であり、とても「けなげ」だとも・・・。
だからこそ、人間の「謙虚」さが求められると言います。
お邪魔した厨房で、建長汁、ゆり根のコロッケ、しめじ&
くり&いちじく入りのリゾットご飯を作らさせて頂きました。
とても綺麗な空間です。常に清められ人を迎え入れる以前に
目に見えない神仏が鎮座していて、人はむしろ遠慮させて
頂く・・・そんな心構えの中で料理がはじまります。
おいしい料理を作るには、まずは「掃除」からと、料理を
しながら後片付け・・・。終わる頃には厨房も綺麗に片づいて
います。
本物を感じてもらいたいと、食器は漆器を使っています。
学校の給食で「本物の器」を提供できない教育・・・。
せめて病院で残された余命の中で「本物の食」を提供できない
ものなのかと・・・。
日本の「形」が崩れ始めていること・・・。
近いうちに必ず食糧危機がくること・・・。
お茶は入れるものであって買うものでないこと・・・。
地球、環境、教育、家族・・・今日的な問題が噴き出し始めて
いて、それらの問いに答えられる鍵が精進料理の中にあるといいます。
ちょっと意識をもって、前に向かうと素敵なことが見えてきそうです。
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