ファーストインパクト!



仏教は懐が広い…としみじみ思うことがあります。

歴史的な経緯もあるでしょうけど、仏教がこれだけ日本で
普及したのは、やはりその懐の広さにも理由があると思います。

その時の日本には、すでに土着の信仰があったのに、それとうまく
握手しながら広まったのですから・・・。

早稲田大学の故・木村時夫教授がおっしゃるには、当時は
「いわゆる自然崇拝と祖先崇拝の多神教的原始宗教だった」
そうです。

そんな素朴な古代信仰の土地に、仏教が登場・・・。

死生観、世界観、経典、仏像、布教組織を完備して伝来されたものですから、
それはもうインパクトが大きかったでしょうね。

木村教授の言うには、それまでの日本人は死後の世界にたいする
考え方が曖昧で、黄泉の国というなんとなく暗い感じのするところ
というイメージが 限度だったみたいです。

そして、とりあえず亡くなった祖先は氏神的な存在になると・・・。

ところが大陸から輸入された仏教は、すでに理論的に体系付けられていて、
金色にかがやく仏様の極楽世界もあれば、とても怖い地獄の世界も語られて
います。

生々しくリアルな死生観が具体的に説かれていたのですね。

信仰をよせる具体的な拠り所になる仏像の存在は、信仰のイメージを
持たせてくれるすごい存在だったみたい。

なにしろそれまでは、自然崇拝なので石や木がそのまま崇拝の対象だったのに、
仏像は人の姿をしていて、しかも、きらきら輝いていましたし・・・。

何もかも完備した宗教なので、それを見た当時の人の驚きは想像以上だった
かもしれません。

しかもそれだけ完成度の高い宗教だったのに、ちゃんと土着の宗教と
握手して広まったところも凄い!

もちろん、多少の衝突はあったけど、西洋の宗教とくらべると、
ほとんど無いに等しいんじゃないでしょうか。

西洋の宗教が、まるでバリカンみたいに広がっていったのに対して、
仏教はとても柔軟性があって、個性を持ちながらも、融合しながら平和的に
広がって行ったと思うと、なんだか誇り高いですね。

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