身近な道具に感謝の心



2月8日は、関東地方で針供養が行われる日です。
お寺に縫製の仕事に携わる人たちが、古くなったり
折れたりした針を持ち寄ります。

それを豆腐やこんにゃくに刺して、参加者が手を合わせて
役目を終えた針に感謝しながら供養し、併せて技芸の上達を
祈るのです。

地域によっては、漁師さんが釣り針を供養したり、看護師さんが
新品の注射針を持ち寄ったりして道具の労をねぎらい、仕事の
安全を祈るケースもあるそうです。

何でも大量生産される現代と違って、昔は針などの仕事道具は
一つ一つが手作りで、貴重なものでした。
それだけに、使う側も大切にしていたんですね。
毎日使っているうちに愛着がわいてきて、身近な存在に思えてきます。

針供養で豆腐やこんにゃくを使うのは、「いつも固い布に通して
ばかりなので、柔らかい物に刺して針に休んでもらおう」という、
愛情や気遣いが込められています。

日本では針以外にも、筆や包丁などさまざまな道具を手厚く
供養する習慣が残っていますが、これも道具への愛情や感謝から
生まれているのです。

この世のすべてのものには魂が宿っていると考え、粗末に扱うことを
避けてきた日本人の伝統ですね。

使い捨て時代になった現在でも、道具が作られて人々の手元に
届くまでには、多くの人たちの知恵と労力が費やされていることは、
昔と変わっていません。

道具や道具作りに携わった人たちに、感謝の気持ちを持ち続けたいですね

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身近な道具に感謝の心 への2件のフィードバック

  1. フードアナリスト食人 のコメント:

    おっしゃる通りです。
    使い捨ての時代になり、物を粗末にします。全くバランスの悪い世の中になりました。不甲斐ないです。

  2. 和尚 のコメント:

    フードアナリスト食人さま
    自分も気をつけます。

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