仏教が生み出した「用の美」



東京・虎ノ門のホテルオークラ隣にある大倉集古館で
開かれている、特別展「根来(ねごろ)」に出かけてきました。

「根来」は、日本漆器のルーツの一つとされる系譜で、
「根来塗」とも呼ばれます。

鎌倉時代から南北朝時代にかけて、当時は真言宗の一大拠点だった
和歌山県の根来寺(ねごろじ)で、お坊さんが日常的に使う器を、
自ら作ったことを起源とすることから、その名前がつきました。

当時は漆器作りもお坊さんの修行の一環だったんですね

展示されているのは、仏さまをお祀りする厨子などの仏具のほか、
お盆、お椀やお櫃(ひつ)といった食器など多種多彩です。

実用品として作られ丈夫さを重んじたため、「輪島塗」や
「会津塗」のようなあでやかさや華やかさはありませんが、
素朴でありながら、使いやすさや機能性を追求したデザインは、
現代にも通用するものです。

根来塗りは、素材の木に黒い漆(うるし)で下塗りを施し、
その上から朱色の漆を塗り重ねていくのが特徴です。

ですから、長い間使っていると上塗りの朱が、はげてきて下地の
黒い漆が、さまざま模様になって現れてくるのです。

和尚の寺にもありますが、決して同じものがない・・・その模様が
独特で、いい味わいを出しています。

まさに日本的な「用の美」の世界ですね。

特別展は13日の日曜日まで・・・。この機会に、仏教が生み出した
「用の美」の世界を味わってみてはいかがでしょう

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仏教が生み出した「用の美」 への2件のフィードバック

  1. サト のコメント:

    恥ずかしい思い出
    手に入れたお椀が黒くなって、汚いねて話していたら、これが根来塗りだと知ってから、とても愛着がわいて、もう20年近く使っています。まさに用の美として輝いています。

  2. 和尚 のコメント:

    サトさま
    素敵な器になられたようですね。
    乾燥に注意して丁寧に使えば、長い間利用できます。

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