木喰上人(もくじきしょうにん)という方をご存知ですか?
江戸時代の後期に生きたお坊さんで、微笑みをたたえた
木彫りの仏像を彫りながら全国を巡り歩いた、いわゆる
遊行僧です。
「一日三体」ともいわれ、一気に仏さまを刻んでは、
訪れたその地に奉納し、そしてまた歩き続ける。
その数、1000体以上といわれ、いまも各地に、
この「木喰仏」が残され、まつられています。
木喰さんは、穀物を断つ「木食戒」という戒律を
受けたといいますから、山菜や木の実しか食べずに
巡行していたことになります。
その足跡は北海道から鹿児島まで・・・。
まさに苦行の旅ですね。
もう一つすごいのは、木喰さんがこの修行の旅を
始めたのは56歳のときということ。
それから93歳で亡くなるまで30年以上、一時期を
除いてずっと旅の生活を送っているのです。
しかも、木仏を彫り始めたのは60歳を過ぎてからと
いわれています。
苦しい修行にありながら、木喰さんの彫った仏像は
見る人の心を和ませる雰囲気に満ちています。
ほがらかな微笑み、愛くるしい笑顔、そして、思わず
噴き出してしまうようなユーモアたっぷりの表情・・・。
飢饉や天災、そして不作に悩む、当時の人々は、
その慈愛あふれる仏さまに出会い、自分たちも笑顔に
なって、明日からまた頑張ろうと思ったことでしょう。
円空さんの粗彫りの素朴さも魅力的ですが、「木喰仏」は
辛さや苦しさをそっと脇に置いて、「よし大丈夫」と
つぶやいて前にすすむ勇気をもらえます。
平成22年(2010)は、木喰上人が亡くなってから
ちょうど200年だそうです。
「木喰仏」はその時々で、人々を魅せてきましたが、
その微笑みが今、この世の中で、大切な何かを語りかけて
くれることになるかもしれませんね
独特の雰囲気
これは何という仏様なのですか?
こころさま
これは大日如来という仏さまです。
次のブログで紹介したように、同じ仏さまでも、
作る方の考えや作風で随分と違いますね。
Unknown
我が家のくまのぬいぐるみとそっくりな笑顔です。
・・・というの罰当たりなのでしょうか?
このような笑顔に直面すると、思わず「ありがとう」とお礼を言いたくなります。
この仏様をみて、ありがたい笑顔が彫れるというのはすごいことだと思いました。
ゆごおさま
本当にスゴイことだと思います。
およそ30年間で600体の仏さまを
作られたことが確認されています。
お顔はやさしいですが、その奥にある「信」には
凄まじいものを感じます。