「書」と弘法大師


和尚の今年の漢字は「進」です。
お寺の建築も始まり、これからのお寺の意味を作りあげて
いこうと思っています。

皆さんは、どんな漢字ですか?思った漢字は筆で書かれる
と良いですよ!モチベーションが高まりますから!!

お正月でもあるので書き初めとか、1年のケジメがついて良い
かもしれません。でも学生の時以来、筆をとったことがない
という人も多いかと思います。

これは実はちゃんとした儀式の一つだったんです。

もともとは、宮中の儀式で新年になって初めて汲んだ水、つまり
「若水」で墨をすり、恵方に向かって、長寿などを願う詩歌を
書いたそうです。

庶民にも広まったのは江戸時代になってからとか。

書といえば、金剛院の宗派である真言宗の開祖・弘法大師が
有名です。国宝指定されている『風信帖』と呼ばれる・・・・・
『弘法大師筆尺牘(せきとく)』は、書の完成形として高く評価
されています。

先日ある書家にお話をうかがった際に、弘法大師の書の凄さは
一文字一文字が、非の打ちどころがないにも関わらず、書全体
(紙全体)を見ても完成形となっている点だそうです。

紙全体のバランスて、これは非常に難しいことなんです。

例えば、年賀状で行書体とか草書体で印字した際に、どこか
ちぐはぐな感じを受けたことはないでしょうか?

一文字ずつは均整のとれた文字であるにも関わらず、全体としては
やはりどこかバランスの悪い印象となってしまいます。

単に文字が綺麗なだけでなく、全体的な調和をとることは
難しいことですし、それがまた仏の教えでもあります。

弘法大師には、書に関することわざが二つあります。

ひとつは「弘法筆を選ばず」というもの。
上手な人は、道具に関係なく一流のものができるというもの。
格好から入る和尚としては、頭がイタイです。

そしてもう一つは、真逆な意味で「弘法にも筆の誤り」という
ことわざがあります。

どんなに上手な人でも間違いをすることがあるということです。
安心する言葉ですね!

でもでも、それを言い分けにしないで、より「精進」するよう
頑張りたいと思います。

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