密教法具(みっきょうほうぐ)とは、密教の儀式(護摩(ごま)・祈祷など)で使われる特別な仏具です。ここでは、密教で使われる密教法具について、ご紹介します。

密教法具ってなに?

密教法具の種類

「密教法具」は密教の儀式で使われる仏具の総称で、「金剛杵」(こんごうしょ)「金剛鈴」(こんごうれい)などがあります。

【金剛杵】(こんごうしょ)とは

サンスクリット語で「ヴァジュラ(ヴァジラ とも)」といい、もともとは古代インドの神々が持つ武器でした。
この武器を「煩悩を打ち払う菩提心(ぼだいしん)」のシンボルとして、密教法具に取り入れました。

中央に柄があり、尖った部分は槍の刃で、刃の数により名称が違います。

刃が1本のもの 独鈷杵(どっこしょ)
刃が3本のもの 三鈷杵(さんこしょ)
刃が5本のもの 五鈷杵(ごこしょ)

【金剛鈴】(こんごうれい)とは

金剛杵の片側が鈴の形になったものを、金剛鈴といいます。
金剛鈴も、金剛杵と同様に「独鈷鈴(とっこれい)」「三鈷鈴(さんこれい)」「五鈷鈴(ごこれい)」といった種類があります。

仏教美術と密教法具

空海と金剛杵

一番有名な空海の肖像画をご存知ですか?
あの絵には、左手にお数珠、右手に何かを持った空海の姿が描かれていますね。
空海が右手に持っているものが、金剛杵なのです。

金剛力士像

独鈷杵をもつ金剛力士像

お寺の入り口で見かける「金剛力士像」も、金剛杵と深い関わりがあります。
金剛力士はサンスクリット語で「ヴァジュラダラ」。
ヴァジュラ(=金剛杵)+ダラで「金剛杵を持つもの」という意味なのです。
お寺の入り口で見かけたときには、ぜひ手に持っている金剛杵を確認してみましょう。

ブータン王国の国章

チベット仏教を国教とする唯一の国家 ブータン王国の国章には、1対の雷龍、蓮の花、そして中央に十字に組み合わされた金剛杵が描かれています。

密教法具の使い方

密教法具(金剛杵・金剛鈴など)の使い方については真言密教の秘儀とされています。仏門にはいり、阿闍利(あじゃり)から伝授されるものです。

でも、「煩悩を打ち払う菩提心(ぼだいしん)」のシンボルという意味合いから、金剛杵を仏具・密教儀式の道具ではなく、お守り・厄除けとして身に付けたり、自宅に飾る人もみられます。